コレを読んでいる方は99%眼鏡ユーザーだと思います。
その眼鏡は見たいものが「見える」ようになりますよね?
近視の人は視界が開け、遠くがはっきり見え。
遠視や老眼の人は手元が見やすくなったり、疲れが取れたり。
乱視の人はピントがしっかり合う感覚が。
斜視の人は視線を補正してあげたり。
ところが、メガネでは矯正できないものもいくつかあります。
その一つに「色彩」があります。
少し前までは色弱、色盲と言われてたものです。
色覚異常という言葉が一般的かもしれません。
最近では差別などの配慮から色覚特性、色覚多様性とも言われています。
日本では20人に1人がこの見え方を持っているとされています。
家族や友達にいる可能性はそこそこ高いです。
すでに家族知人から話を聞いたことのある方もいるかも知れません。
これから前編、後編に分けて以下のことをお伝えしていこうと思います。
・色覚のメカニズム
・色覚と眼科
・色覚補正レンズ、色覚体験
・色覚あるある
・色覚が苦手な方への配慮
・その他の対応法
最近では自分の色覚が得意なのか、苦手なのか、知らない人も多くなっています。
昭和生まれの方は皆さん学校でやったことあると思います。
こういう絵を何枚か確認していく、保健室で一斉にやりましたよね。
以前は義務教育で必ず行う決まりでした。
しかし差別につながりかねないという配慮から平成の世では義務でなくなりました。
ところが、3~4年前から職業選択において困難になる場合がある。
(計器の色の判断ができないためパイロットや鉄道運転手になれない、など)
ということで再度色覚チェックが施行され始めています。
なので今日はまず自分の色覚をチェックできるゲームを用意しました!
マンセルヒューテストというもの。
↓
やってみよう!色彩センス測定! https://www.xrite.com/hue-test
デザイナー向けの色覚センス判定、簡易版です。
あくまで色彩感覚、センスがどれだけ正確かを測るものなので厳密には色覚チェックではないです。
ただし色覚異常傾向は結構正確にできるので皆さんぜひやってみてください。
4列のバラバラに並べられた色をきれいなグラデーションに並び替えてください。
モニターの明るさなども結構影響が出るのでモニターの輝度はMAX推奨です。
間違いやズレがあると加点されていきます。
なのでキレイにグラデーションを作れれば0点、パーフェクト!ということ。
点数が多いほど色彩感覚が鈍いのかも?というものです。
これは色覚特性(Ⅱ型2色覚)のスタッフNが本気出してやった最終段階のもの。
これで下の「テストを採点」を押すと。
点数が出ます。
グラフが伸びてるところが間違ってたよということです。
スタッフNは3~4列目に間違いが多かったようです。
15点くらいまでは普通みたいなんですが、30点超えると色彩感覚に苦手傾向があるかもしれません。
先ほども書いた通りこれは正しい色覚検査の結果ではありませんので楽しみながらやってみてください。
では続いて、色覚のメカニズムと医療について話していきたいと思います。
これから先は分かりやすさ重視の為、色弱、色盲など最近使われない言葉を使います。
ご了承ください。
眼には明るさと色を感じる神経(錐体神経)があります。
その神経はさらに赤、緑、青とそれぞれを担当に分かれて色を感じます。
担当でペンライトの色が変わるアイドル推しの方々のようですね。
通常この3つの神経がバランス良く10:10:10で眼の中に配置されています。(数字は仮)
しかし人間の体はナマモノ。
個体差がありますので、各色のバランスの違いが人によって微妙に違ってきます。
(例:人によっては9:9:12の人もいます)
このバランスによって色彩感覚、色覚センス良い悪いが出てきます。
一般的には女性の方が色彩センスが良いとも言われていますね。
女性の色彩センスはもう少し後でお話しします。
さて色覚異常の方はどういう状態なのか。
簡単な棒グラフで説明します。
先程言った通り一般的な方(今回は差を出すため敢えて健常者と言います)は色覚神経のバランスがほぼ均等。
なのでもちろんこういう状態です。
色覚特性のうち、程度の低い方を色弱という言い方をしますが。
そうなるとこんな感じ。
これは赤緑系色覚異常の中で最も多いケースで緑担当の神経が他2色より少ないため緑をベースとした色の区別がつきにくくなります。
また赤色と緑色の光の波長は酷似しているため、緑と赤の区別がつきにくくなります。
この上記ケースよりは少ないですが赤だけが若干少ない人、青だけが若干少ない人もいます。
では当店のスタッフNの「色盲」という状態はどんな状態でしょうか。
まずは棒グラフから。
こんな感じです。
とはいえ色盲でも世界はかなりカラフルな様です。
世界には赤と青だけではありません。
明るい暗い、白と黒のバランスで言われる明度でも変わりますし。
淡いか濃いか、色そのものの強さのバランス、彩度でも変化します。
苦手な色が一つあったとしても世界はかなり「カラフル」です。
コレは想像ですが、たぶん健常者の方と比べればほんの少しだけセピアな世界なんだと思います。
ただし、スタッフNのように色覚に苦手を抱えている方が見ている世界、色合いは他の人に伝えようがありません。
みんなが赤に見えているものがその方には茶色に見えている。
でもみんなが見ている茶色をその方は知らないから「こんな色に見えている」と言えない。
人によっては、とてもとても、もどかしいと思います。
ここで言われるのが色覚に苦手を抱えている方への配慮ですね。
さて、少し医療の面にも目を向けてみましょう。
色覚特性の有る無し、傾向、度合、の「必要三項目」というものがあります。
ソレを調べるためには医療機関で然るべき検査を受けて初めて分かります。
ただし、お医者様のほとんどは色覚に苦手意識を抱えてはいません。
色覚あるあるの項目でも触れますが、色覚に苦手を抱えている方には血色がわかりません。
顔が紅潮している、青ざめている、血色がいい、血が濁っている、鮮血、など。
血の巡りが見られないお医者様は仕事にならないと思います。
なので色覚に苦手を抱えているお医者さまはほぼ居ないと断言できます。
なので、お医者様も色覚に苦手を抱えている方の気持ちを100%は理解できません。
しかもほとんどが遺伝子上の、遺伝による「生まれつき」のものなので治しようもない。
医療の面から見ていくと、色覚に苦手を抱えている状態は病気ではありません。
「苦手」であり「異常、障害」ではない、という見方です。
この考えによって「治せない」イコール「病気ではない」という考えになります。
そうすると保険点数が低い→儲からないとつながります。
専門的に腰据えてしっかりやると、時間もかかります。
色覚の「必要三項目」を調べるためには最低でも3つ以上の道具、機器が必要です。
設置場所も必要、専門機器なので安くないです。お金もかかります。
つまりお医者様にとってメリットが少ないんですよね。
これは誰も悪くないんですよ。
私たちもメガネ屋という商売です。
売れないものは仕入れませんし効率性、生産性を視野に入れることはどうしても必要です。
というわけで。
専用の道具、医療機器を「全部」おいてある眼科は稀です。
大抵の眼科は「石原式色覚検査表」、「パネルD15」の二つが置いてあります。
書いてある通りですが左が石原式、右がパネルD15。
この左の二つで色覚特性の有る無し、傾向が大体わかります。
色覚の度合いを測る一番右の「アノマロスコープ」は置いていない眼科がほとんどです。
置いていない眼科が利益第一、効率第一だ!という事では決してありません。
「色覚を改善するレンズ」を処方するにおいては確かに必要です。
ですが、そのレンズが必要な人がどのくらいいるの?大勢なの?
と考えると有用性が無いんですよね。
次は色覚を改善するレンズについてお話ししていきたいと思います。
続きはまた【後編】で。
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[ コラム ] 2021-06-26
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